2010年題材

「海幸彦と山幸彦」


 【題材解説】
 天照大神の孫・邇邇芸命(ににぎのみこと)は、大山祇神(おおやまつみ)の娘・木花佐久夜比売(このはなさくやひめ)を娶(めと)り、二人の間に火照命(ほでりのみこと)火須勢理命(ほすせりのみこと)、火遠理命(ほおりのみこと)の三人の子供が生まれました。長兄の火照命は漁に優れていたので海幸彦、末弟の火遠理命は狩猟に巧みなので山幸彦と呼ばれていました。
 ある日、山幸彦は海幸彦にそれぞれの道具の交換を提案し、海幸彦は狩りの道具を手に山へ、山幸彦は漁の道具を手に海へと出掛けて行きました。ところが、山幸彦は海幸彦の釣針を魚に取られてしまい、やむなく自分が持っている十拳剣(とつかのつるぎ)を壊して千本の釣針を作り、海幸彦に許しを乞いましたが、許してくれませんでした。思案に詰まった山幸彦が海辺を彷徨っていると、塩椎神(しおつちのかみ)が現れて訳を問い、「それなら海神の宮殿へ行き、門前の木に登って海神の娘が来るのをお待ちなさい。」と教えてくれました。山幸彦は塩椎神の造った小船に乗って海神の宮殿へ行き、木に登って待っていると、間もなく海神の娘・豊玉比売(とよたまひめ)が現れ、木の上にいる山幸彦を宮殿に招き入れ、海神共々歓待してくれました。
 その後、山幸彦は豊玉比売を妃とし、三年間この宮殿で暮らしていました。やがて捜していた海幸彦の釣針が鯛の咽喉から見つかり、それを返してもらい、更に潮盈珠(しおみつたま)・潮乾珠(しおふるたま)と呼ぶ二つの玉を貰って日向の青島へ帰着し、山幸彦は釣針を海幸彦に返しました。これ以来、海神の呪詛を受けた海幸彦は農耕が振るわず、山幸彦の豊作を妬んで、ついに弟を殺そうとしました。そこで山幸彦は、海神に貰った潮の干満を自由に出来る潮盈珠と潮乾珠を取り出して兄を潮攻めにし、降伏させました。

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